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最高裁判所第三小法廷 昭和26年(オ)165号 判決 1953年9月08日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人二葉松男の上告理由(後記)について。

論旨は、原判決は本案判決の執行と同一の効力を認めることとなるから、仮処分の範囲を逸脱した違法があるというのである。しかしながら原判決の主文に示された本件土地に対する仮処分の内容は、本案判決確定にいたるまで上告人の占有を解きその立入を禁止し、被上告人の委任する執行吏の保管に付するとともに、執行吏に土地の荒廃を防ぐため適当の措置を講ずることを命じ且つ耕作を目的とするかぎり被上告人の立入を許す権限を与えるというのであるから、被上告人が本案において確認を求める土地所有権を保全する限界を越えその終局的な満足を得しめるものとは認められず、また被上告人が本案訴訟で敗訴した場合に原状回復を不能ならしめるものでもない。従つて原判決には所論のような違法はなく、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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